辻村深月 『ぼくのメジャースプーン』感想

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ブログのカテゴリー別にメニューを作成してみました。整備不十分の箇所もあるかもしれませんが、舞台感想や本の感想など、飛びやすくなっていれば幸いです。

 

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私の動力源のひとつである「読書」が、自分の中でまた良い感じに習慣づいてきて嬉しい今日この頃。

先日辻村深月さんの『名前探しの放課後』を読んだ後、『ぼくのメジャースプーン』をすぐに読み返していたのですが、急に『スロウハイツの神様』を読みたくなってメジャースプーンをしばし放置。。

晴れてスロウハイツも読み終わり、そのままの勢いでメジャースプーンも読み終えました。

『スロウハイツの神様』については前にも感想を書いたことがあるので、今回は『ぼくのメジャースプーン』について。

今回の感想はネタバレなしですので、読んだことない方も安心してお進みください。

あらすじ

ふみちゃんはぼくの幼なじみ。頭が良くて、優しくて、運動神経も抜群で、本もたくさん読んでいてみんなより大人。そのせいで孤立しているように見えることもあるけれど、ぼくはそんなふみちゃんにちょっと憧れていた。

だけど小学四年生になったある日、ふみちゃんが率先してお世話をしていた学校のうさぎをめぐり、ぼくらは心無い事件に巻き込まれる。

ひどいショックで心を閉ざしてしまったふみちゃんを助けられるのは、他の人にはない不思議な力を持っているぼくだけ。

ぼくはひとり、犯人と闘うことを決意する――。

感想(ネタバレなし)

冒頭部分のあらすじだけ書くと、「不思議な力」とか少しメルヘンっぽい雰囲気が出てしまいますが、この話にはそういう軽快な要素は一切ありません。

主人公が小学生ながらも、とても重い話だと思います。私が読んだことのある辻村作品の中では一番重い印象があります。人間の持つ闇の深さが描かれていると思う。

でもそれゆえに人の温かさが印象に残り、ひたむきな主人公の姿に純粋に心を打たれる作品でもあります。

けっこう主人公の内面や周りの人物との会話が中心になって紡がれていく、激しい動きのない物語なのですが、それでもこんなに物語に引き込まれてしまうところが、辻村さんのすごさを物語っている気がする。

辻村さんらしいな、と思うポイントはどの作品にもあるんだけど、それぞれ主人公の年齢や性別がまったく違ったりするので、同じ人がこれを書いてるっていうのはすごいな、と思わされます。

 

この作品は今回で読むの3回目くらいですが、読み返す前にも少し心が重くなります。ちょっと読むの辛いなあ、でも読みたいなあ、という感じ。

第2章のある場面が辛すぎて、憤りのようなものや不快感を覚えるし、それはこの物語にとって避けては通れないポイントなんだけど、それでもここを読むのは毎回少し憂鬱になる。

でも、読者にそういった印象を与えることをわかっていてこれを書くのも、やっぱりすごい。

書く側もきっとあまり気が進まないだろうなあと思うシーンだけに、これだけしっかりと描写するのは勇気が要るはず。

 

「ぼくの持つ不思議な力」は「言葉」を駆使して使う複雑な力なので、読みながらけっこう頭を使う作品だとも思います。

書くのにはもっと頭を使うはず。。私には一生書けない類の話運びです(笑)

でも、言葉遊び(?)みたいなのが好きな方はそういう部分も楽しく読めるかも。

主人公のひたむきな姿も良いのですが、彼の師として登場する秋山先生の、温かさと冷徹さを持ち合わせている部分も好きです。いろんなことを経験し、考えてきた大人っていう感じがする。

 

辻村作品に見られる作品同士のリンクについてですが、この作品はぜひ『子どもたちは夜と遊ぶ』を読んでから読んでいただきたいです。

そしてこの作品を読んだ後には、ぜひ『名前探しの放課後』を。『名前探しの放課後』とのリンクは個人的にものすごく好きです。

メジャースプーンを最後まで読んでなんとなくしこりが残った方でも、『名前探しの放課後』を読むとすっきりするような、救われるような気持ちになるはず。

 

私は今回は『名前探し~』からの『メジャースプーン』でしたが、そのまま逆行して次は『子どもたち~』を読み返そうと思っています(笑)

新しいものも読みたいけれど、何度読み返しても楽しい作品はやっぱり最高(´v`*)

というわけで、おそらく次の読書感想は『子どもたちは夜と遊び』になるのではないかと思います。

 

Liebe Grüße,

Natsuru

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