Kバレエカンパニー『白鳥の湖』感想、前回の記事の続きです。
今回は大好きな第3幕の感想から。
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第3幕
すべてのバレエ作品の中でもっとも好きな場面、と言っても過言ではない『白鳥の湖』第3幕。
そのむかし、一瞬だけ(2年ちょっとくらい)バレエを習っていたことがあるのですが(笑)、
一度だけ出た発表会でもこの3幕の場面を踊ったので、そのときの記憶も相まって思い入れの深い場面です。
この3幕、むかし観たときより、衣裳も大道具も、全体的に「黒鳥」感が増していて素敵でした。
王子の友人の衣裳も、むかしはずっと緑だったのが、このシーンでは赤に変わっていたり。
物語としては、ジークフリートの成人を祝う大舞踏会。
オデットを招待したこの舞踏会で、ジークフリートは結婚相手を決めることになっていました。
なかなか姿を現さないオデットを気にするジークフリートと、王子を祝い華やかな踊りを披露する人々。
やがて貴族に扮したロットバルトが娘のオディールをつれて現れますが、王子は2人にだまされ、オディールこそオデットであると信じこみ、彼女に愛の誓いを立ててしまいます。
その瞬間、オディールにかけられた呪いは二度と解けないことが決まるのです。
こんな感じですごくドラマチックなシーンなのですが、オディールと王子の踊りだけでなく、
この3幕はキャラクターダンスも名曲ぞろいでものすごく見応えがあります。
「いろんな人がお祝いに駆けつける」という感じのシーンがむかしから好きで、
『眠れる森の美女』の舞踏会もそうだし、懐かしのディズニーのシンデレラブレーションでアラジンやジャスミンたちがシンデレラの戴冠式に駆けつけるのもすごく好きでした(笑)
仮面をつけて舞踏会に現れる6人の姫たちの、少しミステリアスな雰囲気から始まり、華やかな曲調へと変化していく踊りも本当に大好きだし、
とにかく明るい雰囲気のナポリはタンバリンを使った踊りがかわいらしい。前に観たとき(くどいようですが10年以上前)は3人だったのですが、今回は男女ペアの4人になっていました。
むかしは削られていたチャルダッシュやマズルカもあり、本当にどの曲も楽しめた!
チャルダッシュとマズルカは、足を巧みに使った踊りの雰囲気がどことなく似ている印象でしたが、
なるほど、ハンガリーとポーランドか、と思って納得。
チャルダッシュは自分が実際に踊った曲なので思い入れがあるし、マズルカの曲も久々に聴いて、「あーこの曲も大好きだったー!」と記憶がよみがえりました。
バレエを習っていた当時から、踊るのも楽しかったけど、他の人の踊りを観ているのがすごく好きだったなあ。
そしてロットバルトの手下(?)として登場するスペインの踊りも本当に格好良い!
生演奏なので、フラメンコ風のカスタネットの音が耳にすごく心地良かったです。スペインをテーマにした曲は良い曲が多いですよね。私の好みなだけかもしれないけど。
そして小林美奈さんのオディール登場!
むかしのKバレエはオデットとオディールは別のダンサーが演じていたので、
オデット/オディールを同じダンサーが躍るのを観るのは、実はこれが初めて。
映画『ブラックスワン』を観て以来、同じダンサーが踊るのをずっと観てみたかったので嬉しかったです。
個人的には、小林さんのオデットよりもオディールの方が好きでした!(笑)
妖艶さもあり、でもキュートでかわいらしい小悪魔感もあり、まさに「黒鳥のプリンセス」という感じがしました。
オデットと同じ容姿の人がオディールを演じている、という部分にも、独特のミステリアスさがありますね。
オディールはもともとオデットとよく似た姿をしているのか、それともロットバルトの魔法でこう見せている、という演出なのか。どういう解釈が正しいのか気になるところです。
むかしKバレエ展に行ったときも思ったのですが、オディールの黒い衣裳に赤い羽根が混ざっているのが印象的です。
第3幕全体、赤と黒が基調になっているせいもあるのかもしれません。
王子とオディールによるグラン・パ・ド・ドゥは本当に清々しいくらいの見せ場で、
観ていて本当にわくわくするし、とにかく大好きなシーンです。
曲の盛り上がりも最高潮に達して、これ以上ないくらいのフィニッシュ。
本当に素晴らしかったです。
この後、やはりどこかミステリアスなムードが漂う中でも、晴れやかな顔で愛の誓いを立てる王子。
その瞬間、ロットバルトとオディールは企みを明かし、窓の外に悲しげに佇むオデットの姿を王子に見せ、
混乱する場をあざ笑うかのように城を去って行きます。
この畳み掛けるような、すべてが崩れ落ちるような3幕ラストもしびれるくらい格好良い。
王子は完全に巧みにだまされていたわけなので、「気づけよ!」と思うよりかわいそうだなあ…と思ってしまいます。。
これ以降、オディールが姿を現さないのも個人的には気になる点というか、なんだか深掘りしたくなる点です。
Kバレエでは4幕でロットバルトが敗北(滅ぶ?)しますが、残されたオディールはどうなったんだろうな。。
第4幕
むかしは3幕と4幕の間に5分くらいの休憩があったような気もしますが、今は大道具の入れ替えなどの時間を音楽でつないでいました。
『白鳥の湖』は1幕から4幕まで、動と静の場面が順番にやって来るような感じですが、4幕は静かな湖のほとりのシーン。
呪いが解けないことに打ちひしがれるオデットと侍女たち、自身の過ちを悔いる王子。
2人の悲しくも深い絆を感じられる踊りと、2幕同様、美しいコールドを見せてもらえるロットバルトとの戦いが見どころです。
王子が湖に駆けつけてくるシーンは、曲も盛り上がって鳥肌。
最終的にオデットとジークフリートは湖から身を投げることで呪いに打ち勝ち、苦しみから解き放たれ、永遠の世界へと旅立つのですが、
これを悲劇と取るかハッピーエンドと取るかは、おそらく意見の分かれるところ。
でも人間の姿に戻った小林さんのオデットがかわいすぎて、小鳥のさえずりを彷彿とさせるような明るい姿に、とても幸せな気持ちにさせられました。
朝日に照らされるようなオデットとジークフリートの姿、本当に美しかったです。
そんな感じの『白鳥の湖』鑑賞でしたが、やっぱり私はバレエを初め、ダンスを観るのがすごく好きだなあと再確認。
バレエはすべてが美しい印象を与えてくれるところや、同じ振りが何回か繰り返されるところも好きで、
Kバレエに関してはDVDもけっこう持ってるけど、やっぱり直に観たときのトゥシューズが舞台に着地する瞬間の音とかがすごく好きです。
熊川さんが演出に徹するようになってから観る機会自体は減ってしまったけど、これからもまたいろいろな公演を観たいなあ、と思います。
5月の『コッペリア』では、今回オデット/オディールを踊られた小林美奈さんもスワニルダを踊られるようですね!
まさにかわいらしい少女の役なので、きっとハマリ役だろうなあ^^
引退を発表された浅川紫織さん
最後に、先日引退を発表された浅川紫織さんについてのパネルも設置されていたので、
写真を載せたいと思います。人多すぎで全然上手く撮れてませんが(笑)
多くの人がバレエに携わる中、長年プリンシパルとして舞台に立ち続けること、
そして常に怪我と隣り合わせのダンサー人生というのは、どれだけ大変なものなんだろう、と思うと私には想像もつきませんが、
スポーツやダンスは若いうちに花開き、それが永遠に続くものではないからこその美しさがある気がします。
まだ実際に引退されるまでは数ヶ月ありますが、今後の舞台の成功、その後の多方面でのご活躍を、心よりお祈りしています。
Liebe Grüße,
Natsuru
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