辻村深月 『ロードムービー』感想

個人的な辻村深月さんの本を読み返す週間もそろそろ終わりに近づいていますが、

今回は『冷たい校舎の時は止まる』の番外編、且つ短編集、『ロードムービー』の感想を書いてみたいと思います。

ネタバレなしの感想です。

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この本について

この本は辻村さん初の短編集に当たる本のようなのですが、個人的に辻村さんの書く短編はすごく好きです。

長編の場合、「加速してからすごく面白いけど、それまでが長い」ように感じることもある辻村作品ですが、

短編はストーリー自体が短い分、序盤からぐいぐい引き込まれてしまう感じ。

もっとも、私が読んだことある辻村さんの短編はいずれも長編のスピンオフみたいな位置づけにあるものなので、初めから登場人物の人となりがある程度わかっているから、より面白く感じる面もあるのかもしれません。

『ロードムービー』は、強いて言うならば『冷たい校舎~』を読んでいなくても読める本ではあるかもしれませんが、

たぶん面白さは半減してしまうし、「???」と感じる部分も出てくるだろうなと思います。

ぜひ、『冷たい校舎の時は止まる』を読んでから読むことをおすすめします。

私は今回で読むのは2回目のはずなのですが、ほぼきれいさっぱり1回目に読んだときの感想を忘れており、

こんな話あったっけ?という感じで読み始める話すらありました。。(笑)

おかげでいろんなエピソードにある仕掛けにも、2回目なのに純粋に驚けるという貴重な体験をさせてもらいました(笑)

インパクトのある仕掛けというかサプライズを忘れることって、しようと思ってできるものではないので、ありがたかったと思います。人間の持つ「忘却」という能力は偉大ですね(笑)

忘れてしまうおかげもあり、何年か経ってまた作品を読み返したいなあ、観たいなあ、という気持ちにさせてもらえるんだろうな。

以下、ざっくりですが感想です。

感想(ネタバレなし)

街灯

プロローグのような位置付けの短いお話。

私はあまり鷹野と深月の話には感情移入ができないので(笑)、彼らのエピソードに関してはついすんとした気持ちで読んでしまいます(笑)

でも「雪の降る道」を読んでからまたこのエピソードを読むと、感慨深さが増すかも。

ロードムービー

トシとワタルという名前の2人の小学生のお話です。

小学生にもあまり感情移入できないんだよなあ…なんて考えながら読んでいるとうっかり泣かされてしまう話(笑)

『冷たい校舎~』とどういう関連がある話なのかはけっこうすぐわかると思うのですが、

前述のようにとある仕掛けをすっかり忘れていた私は、「ああーーそうだったーー!」と驚かされました(笑)思い込みってすごい。

そして辻村さんは、「こいつムカつく!!」と読者に思わせる人物を描くのもすごく上手いと思います。

よくこんな台詞思いつくなあ、とけっこう感心しながら読んでしまいました(笑)

道の先

私はこの本の中で、この話が一番好きです。ある塾講師の大学生と、中学生の女の子の物語。

文庫本の解説にあるように、これはこれまでの辻村さんにしては珍しく特に仕掛けのない、ミステリとかではない物語なのですが、

私こういうテーマが好きなのかもしれません。すごく引き込まれてしまいました。

中高生から見た時の「大学生の大人感」とかちょっと思い出しました。中高と大学の間って、感覚的に何か大きな隔たりがある気がする。

社会人になってから見ると、大学生もただの学生なんだけどね(笑)

トーキョー語り

この話も内容すっかり忘れていたので、読みながら「ああーーそうだったーー!」を体験することができました(笑)

都会から遠く離れた、田舎の高校の物語です。

私は東京生まれ東京育ちなので、こういう「都会への憧れ」とか出てくる話ってちょっと新鮮。

素敵なサプライズのおかげで、すっきりとした読後感でした。

雪の降る道

あまり感情移入できないと前述した鷹野と深月の物語ですが(笑)、『冷たい校舎~』では語られることのなかった、鷹野から見た深月の話で、2人の絆を感じさせてくれるお話です。

初めて読んだ時はあまり印象に残らなかったのですが、今回読み直したらとても良かった。

「何もできなかったとしても、相手に寄り添う」ことの温もりが詰まっています。

エピローグ、またはプロローグ

タイトル通りの意味のエピソード。『冷たい校舎~』につながる感じがとても好きです。

一度『冷たい校舎~』を読んだことのある方は、この本を読んでからもう一度『冷たい校舎~』を手に取るのもありかなあと思います^^

以上、『ロードムービー』の感想でした。

今読んでいるのは同じく辻村さんの短編、『光待つ場所へ』。こちらもとても面白いです。

もうすぐ読み終わりそうなので、また感想載せたいと思います^^

Liebe Grüße,

Natsuru

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