シアターオーブにて上演中の『ファインディング・ネバーランド』、
9月9日ソワレ公演の感想です。
前回の記事で言及しなかった細かな(?)内容に触れるので、ネタバレありです。
私自身、この作品は最後までストーリーを知った上で観たので、
あらかじめ内容を知っていても問題ないし、
知りながら観るからこそ味わい深い場面もある作品だと思いますが、
内容を知りたくない方はご注意ください。
本当は曲ごと、シーンごとに感想を書きたいのですが、
今回は特に印象に残ったシーンを中心に書いていきたいと思います。
4人兄弟のこの日のキャスト。
同じ子ども役と言えど、兄弟ひとりひとり立ち回りが全然違うので、
あらためて、日替わりで別の役を演じられるなんて頭が下がります。。
<ACT1>
プロローグで劇中劇のキャストたちが大集合するのが好きでした。
物語の始まり!という雰囲気でわくわく。
これは全シーンを通して言えることだけど、
私、本来は舞台の背景などに映像を使うのがあまり好きじゃないのですが
(映像を使われると逆に舞台の奥行きを感じられなくなり、自由に背景を想像できなくなるから)、
この舞台においては映像がすごく効果的に使われているなあ、と思った。
前から4列目で舞台が近かったので尚更だと思うんだけど、
途中、自分も舞台に吸い込まれるような感覚を覚える映像効果もありました。
そういう点でも、「エンターテイメント」感が強い作品だなと思えて楽しかったです^^
ケンジントン公園で主人公のバリと、シルヴィア&4人の子どもたちが出会うシーン。
海賊ごっこをしながら子どもたちが出てきた瞬間、
そのあまりのかわいさに完全に心を奪われました(笑)
そして子どもたちと一緒になって、海賊の眼帯をつけて現れるシルヴィア。
その姿を見ただけで大好きになってしまいました!(笑)
明るくて芯が強くて、笑った顔が最高にチャーミングで、とっても素敵な女性。
このシルヴィアの魅力が、この作品の魅力にそのままつながっていると思います。
そして他の子のようには遊ばず、1人本を読んでいる少年、ピーター。
私はむかし舞台系の部活に所属していたのですが、
ちょっと久々に「この役やりたい!」と思える役に出会いました(笑)
父親を亡くしたことで心に傷を負い、子どもらしさを失ってしまったピーター。
そんな彼にバリが語りかけるナンバー、「Believe」はこの舞台のプロモーション映像でもちょっとだけ観たことがありましたが、
まさにこの舞台を代表する曲のひとつだと思います。
心が躍るようなメロディに載せたバリとピーターのかけ合いが絶妙!
そこに公園にいる他の人たちも加わって全員で合唱する様子には、
私も混ざりたい!と切に思ってしまったし、
こんなに明るいメロディなのになぜか涙が出てきてしまいました。。
まったく同じようなことが、約1年前の『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』の来日公演でもあったのですが、
『ライオンキング』のサークルオブライフみたいに、迫力に感動して泣くっていうのとはまたちょっと違って、
たぶん、「私は今、なんて幸せな体験をしてるんだろう」と心が震えるからこその涙なのかな、と
今回思いました。
『ヨセフ~』で涙が出た時は、半年以上ぶりの観劇が嬉しくて、
という理由だと思っていたのですが、
今回はべつに久々の観劇とかではないので、おそらくその理由ではないな、と。
目の前で展開する素晴らしい舞台を観られること、肌で直接感じられることが嬉しくて、
自然と涙が出てしまったのだと思います。
こんなふうに、泣けるシーンでもないのに涙が出そうになることが、この舞台では何度かありました。
それだけ、今の私の感覚に何かを訴える作品なのかな。
「Believe」の曲は文句なしに素敵で、
ほんと久々に舞台魂が復活してしまい、振り付けしたい!!とも思ってしまいました(笑)
この舞台、振り付けしたら楽しそうな曲が盛りだくさんでした^^
バリの自宅にシルヴィアと子どもたちを招待した時のナンバー、「We Own the Night」も楽しかった!
かなり笑いました(笑)
いろいろなところでみんなが好き勝手にしゃべるような、こういう演出大好き。
この曲は日本語字幕を観るより、舞台に集中している方がより楽しめるかなと思います。
曲調のせいか、この曲はなんとなくハロウィンっぽくて(超個人的意見)、
ディズニーのハロウィンショーとかにも使えそうだなあ、と勝手に思いました(笑)
ピーターが笑顔を取り戻していく様子を見られるのは嬉しかったし、
ここでバリが「光」を「妖精」にたとえ、
『ピーターパン』のティンカーベルのアイディアを得るのも好きです。
シルヴィアのソロナンバー、「All That Matters」も本当に美しい曲!
舞台を観る前にいくつかこの舞台に対する批評などを読んでから臨んだのですが、
一部「名作と言うには曲が少し弱い」みたいなことが書いてあったのだけど、
私にとっては全然そんなことなくて、
本当に何をどう受け取るかって人それぞれなんだなあ、と実感させられました。
たしかに、たとえば『オペラ座の怪人』とか『レ・ミゼラブル』ほど曲同士のつながりはないというか、
旋律の重なる曲は多くはなくて、
そういう意味で全曲に一体感(というか統一感?)があるわけではないかもしれないけど、
そこがまた「ショーを観ているみたい」な感覚につながって、
エンターテイメント性を高めているのだと思います。
一曲、一曲雰囲気が違って、盛りだくさんのシーン。
それが『ピーターパン』というひとつの物語にまとめられていくのが、
この作品の魅力なのではないかなと。
料理にたとえると、オペラ座やレミゼが完璧なフルコースなら、
『ファインディング・ネバーランド』は贅沢なアラカルト、という感じ。
余計わかりにくくなっていたらすみません。。(笑)
「Sylvia’s Lullaby」は、舞台を最後まで観てからだとより味わい深くなる旋律。
少し切ない空気を含みながらもあたたかいメロディは、
まさにこの舞台そのものを表現しているようにも聞こえます。
星の瞬きのような、オルゴールのような音で奏でられる伴奏も美しいです。
バリが周りの人物に翻弄される様子を描いた「Circus of Your Mind」の演出も素晴らしかった!
まさにぐるぐると振り回されるバリの苦悩が表れていました。
この曲はなんだか遊園地を彷彿とさせる感じもあります。
歌詞に「メリーゴーラウンド」という言葉が入っているせいと、
場違いに陽気な三拍子のせいかなあ。
このいろんな感情がごちゃごちゃになる感じが見応えありました。
時間に追われる感じもすごくミステリアスで、
『ピーターパン』には欠かせない「チクタク チクタク」という音も巧みに盛り込まれていて。
この曲の振り付けも楽しそうだなあ!(笑)
プロデューサーのフローマンもとっても良い役!
公演プログラムを読んでいて、実際のバリの良き理解者だったんだろうな、と思いました。
そんなフローマン役の俳優さんがもう1人のバリの姿、フック船長を演じているところもすごく良い。
ブロードウェイではケルシー・グラマーさんが演じていたんですね!
フレイジャーのドラマ、個人的に大好きなのでそれを思うとなんだか感慨深かったです。
一幕ラスト、「Stronger」!
絶対に生で観ていただきたいナンバーのひとつです。
内なる心の声、フック船長にバリが背中を押されるということ自体とても面白いのですが、
この曲も演出がかっこよすぎた!!
舞台を見上げながら、「私は今何を観ているんだろう」と放心してしまいました。
力強い太鼓の振動が客席にも響いてきて、
まさに、バリと一緒にこちらも心を奮い立たされる感じ。
一幕が終わった時、口を開けてぽかんとしてしまうような、
今まで完全に舞台に引き込まれていた自分に気づいて我に返るような、
こういう感覚を味わわせてくれる舞台ってやっぱり、文句なしにいい。
いろんな舞台があるけど、一幕の最後にはやっぱりこういう感覚を味わいたいです。
二幕には何が起こるんだろう…!とわくわくして待ちきれなくなってしまいました。
というわけで、続いて二幕の感想を書きたいのですが、、
自分の想像以上に長くなってしまったので、もうひとつ記事を分けようと思います。
ごめんなさい!
更新はすぐの予定なので、ここまでおつき合いいただいた方はぜひご覧いただけると嬉しいです^^
Liebe Grüße,
Natsuru
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