ミュージカル『にんじん』 観劇感想

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このブログ、ランキングとかもやっていないしとってもマイナーなブログなのですが、
前回の『ビリー・エリオット』のミュージカル日本公演の記事、
いまだかつてない人数の方に読んでいただいているようでびっくりしています。

やっぱりビリーの日本公演に注目している方はたくさんいらっしゃるんですね!
なんだか嬉しくなりました^^

 

ビリーとは打って変わりますが、今回は大竹しのぶさんが出演されているミュージカル『にんじん』の感想です。

8/12(土)ソワレ公演を観てきました^^

自分の姿が写りこまないよう、斜めからの撮影で失礼します。。
しかも全然よく見えない(笑)

 

むかし四季の『オペラ座の怪人』でファントムを演じられていた今井清隆さんが出演されているということで、
急遽観に行くことになったミュージカル。

ジュール・ルナールというフランスの作家の『にんじん』という本が原作のようです。
原作は読んだことないけど、図書館とかで見たことあるようなないような…。

以下、オペラ座やビリーの感想と比べるとだいぶざっくりしていますが感想を書きます。
ネタバレもあると思いますので、ご注意ください。

 

と言いつついきなり内容関係ないけど、この舞台の何に驚いたって、
休憩が35分もあること!(笑)

帝劇だと30分くらいが標準な気はするけど、
だいたい休憩とは20分くらいだと思っているので、これは初めての長さでした(笑)

この演目ならではなのか、新橋演舞場ならではなのかは謎。

 

まあそんなことはどうでも良いのですが(笑)

 

この物語の主人公は、大竹しのぶさん演じる少年、フランソワ。

家族でさえも本名を呼んでくれず、その赤毛とそばかすから、「にんじん」と呼ばれている男の子です。

 

『赤毛のアン』を彷彿とさせる設定ですが、中身はまったく『赤毛のアン』のようではなく、
個人的にはけっこうヘビーな話だなあ、と思いました。

心の病を抱えている母はにんじんにだけ辛く当たり、姉と兄には優しい。
妻にうんざりしている父親は、妻のすることに介入せず、まるで存在していないかのように振る舞う。

そんなぎすぎすした家庭で育ち、実の両親のことを「ルピックさんとその奥さん」と呼んで暮らすにんじんの姿は、見ていて本当に辛いものがありました。

 

にんじんはフィクションによくある「それでもめげない元気な男の子!」とかではなく、
家族や周囲の言動ひとつひとつに深い傷をつけられ、その傷を抱えながら生きている少年でした。

 

今井清隆さん演じる名づけ親(にんじんのおじさんに当たる人)や、
新しい家政婦のアネットは要所要所でにんじんの味方をしてくれますが、
その助けすらにんじんの心深くの傷を癒すには至らない。

 

しかもこれ、完全なフィクションではなく原作者の生い立ちを反映した作品のようで、
それを思うと余計に現実の重みや理不尽さを感じました。

 

にんじんは大竹しのぶさんが38年前(22歳の時)に演じた役だそうで、
「還暦を迎えてもう一度やりたい役はあるか?」ときかれた時に浮かんだのがこの役だったそうです。

カーテンコールで小さな男の子が「にんじん、がんばれ!」と言ってくれて、
それほどまでに人に影響を与えたということが印象に残っていたのだそう。

大竹しのぶさん、生で拝見するのは初めてでしたが、
やっぱり抜群の演技力。

 

何の役を演じても結局は「○○さんが演じている」というふうにしか見えない役者さんもたくさんいますが(それは必ずしも悪いことではないけど)、
大竹しのぶさんは本当に役そのものになってしまうタイプの女優さんなんだなあ、と感じました。

最初から最後まで、「大竹しのぶさん」には見えなかった。

 

ただ、実際の大竹しのぶさんとにんじんの年齢差はたぶん50歳くらいはあるので、
どうしても多少の違和感はあるというか、
私の目には「少年」というより「にんじんという未知の生命体」のように映ることもありました(笑)

でもそういうのも含めて「大人の女性が少年を演じることの面白さ」だと思うので、
決して悪い意味ではないです。
とても興味深かった。

 

ストーリー自体には特に大きな救いもなく、
それでも何度も「死のう」と決意してきたにんじんが、最終的には「このまま生きていく」という考えに至る結末。

奇跡のようなことは起きなかったとしても、
現実にどうにか折り合いをつけて生きていくしかないんだ、と感じるラストでした。

 

明るい気持ちになる結末ではないんだけど、
なんというか、「雑草のたくましさ」みたいなものを感じる作品。

子ども時代に観たらどんな気持ちになったかなあ…とちょっと考えさせられました。

ぜひまた他の作品でも、大竹しのぶさんを生で拝見してみたいです^^

 

Liebe Grüße,
Natsuru

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