『ミュージカル ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』 観劇感想 -その2-

ミュージカル『ビリー・エリオット』日本版公演の感想、第二幕です(ネタバレあり)。


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<ACT2>

★Merry Christmas, Maggie Thatcher メリー・クリスマス、サッチャー

私が演出家だったら、このナンバーを日本公演版でどう扱うべきかたぶん一番悩むわ、と思った曲(笑)

サッチャー首相への皮肉をこめた風刺的な意味合いのあるナンバーなのですが、
日本にはそもそも海外と比べると「風刺」という文化(?)があまり浸透していないし
(権力のあるものを面白おかしく皮肉ったりとか、むしろご法度な感じがある)、
「サッチャー」と聞いて何か確固としたイメージが浮かぶ人も少ないと思う。
(少なくとも私には「鉄の女」以上のイメージは恥ずかしながらない。。)

そんな中、陽気に「メリークリスマス、マギー・サッチャー」という歌が流れ、手拍子なんかもするのだけど、
日本人的にはきょとんとする人が多いのでは…と個人的に思う。
ただ楽しげなナンバーとして聞くには、政治色がちょっと強いからなあ。
文化の違いはこういうところが難しいですね。

でも、幕が開く前の台詞ややり取りを最小限にしている(ように見えた)のは正解だと思う。
一幕ラストであんなにぎらぎらしていたトニーがめっちゃ陽気な衣装で登場するのとか、ちょっと戸惑うけど(笑)

★Deep Into The Ground 深い地の底へ

ビリーのお父さんのナンバー。
自分の仕事に誇りを持って、息子たちの前では強い父親なんだけど、
ふとした瞬間に亡くした妻のことを思い出して涙ぐむ姿はとても切なくて、
お父さんの人となりのわかる曲なので好きです。
途中でビリーがうたい出すところもいい。

私は海外版のお父さんがとても好きなのですが、
お父さん役の吉田鋼太郎さん、雰囲気もぴったりで不器用な感じもとても良かったです。
良いとか悪いとかではなく、「日本人が演じるとこういう感じだよね」と思った。

海外版とどこが違うのか上手く言い表せられないのですが、
日本人独特の「普段は表には出さないけど、内に秘めた温かみ」のようなものを感じました。

★Swan Lake Pas de Deux 白鳥の湖 パ・ド・ドゥ

全ナンバーの中で1、2を争うくらい好きなシーン!

1人踊り出すビリーの隣にいつの間にか将来のビリーの姿であるオールダー・ビリーが現れ、
2人でパ・ド・ドゥを踊るシーンです。
海外版で観た時、本当に感動したシーンでした。

バレエの道を絶たれたかのように思えるビリーだけど、
夢を諦めずに立ち向かえば、成長した時にこんなに素晴らしいダンサーになるんだろう。
そういうことを、わざわざ感じなくても、無意識下で感じさせてもらえるような演出(上手く言えない。。)。

加藤航世くんと栗山さんのシンクロが素晴らしく、とても美しかったです。

…だけに、途中で加藤くんの椅子が倒れてしまったのが本当に残念(>_<)
すぐに持ち直したし、片手で椅子を回しながら踊るなんてまさに神業だと思うので、
こんなこともあって当然とは思うのですが。

前回の記事でも書いたけど、とてもきれいに踊れるがゆえに、
全部完璧なバージョンを観たいなーと思ってしまうのです。

と、ついついビリーに注目してしまうけど、
逆に言えば役柄的にオールダー・ビリーには絶対に失敗が許されない場面なので、
そのプレッシャーの中完璧にこの踊りをこなしてみせるオールダー・ビリー、あらためてすごいなあ…と感じました。

男性と少年のパ・ド・ドゥなんてなかなか観る機会はないと思うし、
椅子を使った踊りが終わった後も非常に見応えのあるシーンです。

挙句の果てにはフライングまでこなさなければいけないビリーを観ていると、
やっぱり恐ろしい役だなあ…と思う(笑)
舞台上でできること、すべて詰め込みました!みたいな(笑)

フライングしながらぐるぐる回るのも大変だろうし、
ビリーを巧みに誘導するオールダー・ビリーも大変だろうに、
それを感じさせない2人のスマートさ、本当に素晴らしかったです!

★He Could Go And Shine あいつには輝く道がある

ビリーのバレエを観て、彼の才能と情熱に気づいたお父さん。

「炭鉱夫の息子は炭鉱夫に」という概念を打ち捨て、
なんとかビリーをバレエスクールのオーディションに連れて行くため、お金をやりくりしようとします。

ここで自分のプライドを捨て、仲間を裏切る道でありながらもスト破りに参加しようとするお父さんの姿、泣けます。
そしてそんなお父さんを見て、協力しようとする仲間たちの姿も。

パンフレットにも書いてあったけど、この物語ってビリー以外には救いがないんだよね。
炭鉱夫たちはやがて失業してしまう運命からは逃れられないし、
ウィルキンソン先生だって、家庭の不和からすぐに逃れられるわけではない。
今の生活を続ける以上、この先に華々しい何かが待っているとも思えない。

でもだからこそ、みんながたった1人の少年ビリーに夢を託し、彼の前途に救いを見出す。
シビアだけれどとてもリアルで、そこがこの夢物語のような話に深みを持たせていると思います。

ビリーのオーディションのシーン、
私が観た海外版と若干違ったけど、これは日本版なのか、
それとも海外版も今はこういう感じなのかな?
(ビリーがウィルキンソン先生と作ったカセットテープを差し出すシーンとかない。けっこうあのシーン好きなのですが(笑))

オーディションに来ているお金持ちっぽい子どもたちと父兄たち、
なんか日本人がやると「いわゆる日本の授業参観」みたいな雰囲気が出てしまうので、
あんなに何人も出なくてもいいかな…と個人的には思った(笑)
たぶん笑いを取るシーンなのだとは思うけど。

ちょっとこのへんの一連のやり取りに、個人的に日本っぽさを感じてしまったのでした。

★Electricity 電気のように

これもほんとに大好きなナンバー!

オーディションが上手くいかずに落ち込むビリーが、
最後に審査員から「踊っている時、どんな気持ちですか。何を感じますか」と尋ねられ、
自分の心の内を語りながら、思わず踊り出してしまうシーン。

海外版を観た時、めちゃくちゃ感動して泣きました。

歌詞が素晴らしい歌だと思う。
日本語訳もわかりやすくてとても良いと思いました。

ただ、「Electricity」をどう訳すかがけっこう難しいところなのかなと。
私のイメージではびりびりした電流のようなイメージで、稲妻に近い感じかなあと思うので、
日本語訳の「まるで電気 そう 電気」はちょっと違和感があったかなあ。

でも曲に合わせておさめることや韻を考えると、「電気」としか言い様がないのもわかる。

むしろ「Electricity」でもいいのでは、と思ったけど、ここだけ急に英語にするのも変か(笑)

それはさておき、この後のビリーのダンスはほんと清々しいほどでした!

ビリーの生き様そのものであり、ビリー役の加藤くんの生き様そのものという感じ。
しっかりうたい上げてから踊り出すだけでも体力が要ると思うんだけど、
まさに全身全霊で踊っていて、側転とかもめちゃくちゃきれい!

ビリー役の子たち5人いるけど、このダンスにはそれぞれの得意分野が反映されていて、
全員振り付けが違うらしい。

…とか聞くと、全員のビリーを観てみたくなっちゃいますね(´`)

このシーンだけでなく、ほんとこれはそれぞれのビリーを観てみたくなっちゃう作品だわー、と思った。

他の方の感想もまたいろいろのぞいてみたいなと思います。

★Once We Were Kings 過ぎし日の王様

ビリーのオーディション合格がわかると同時に、1年続いた炭鉱夫たちのストライキは失敗に終わってしまいます。
(この頃になるといつの間にかトニーもビリーの合否を心配する良いお兄ちゃんになっているのが微笑ましい)

受け止めなければいけない重い現実と、
ついに開いたビリーの進む新しい道。
とても対照的だけど、自分の信じた道を進むという意味では一緒。

ビリーを見送り、また炭鉱へ仕事に向かう炭鉱夫たちの姿はとてもたくましく、格好良く映ります。
合唱がアカペラになる瞬間とか、特に好き。
ここでビリーのトランクに着替えを一緒に詰め込むお父さんの姿も泣けます。

ウィルキンソン先生との別れのシーンも、もちろん涙。

いつもさばさばしているウィルキンソン先生だけど、
ビリーにとって先生との出会いがどれだけ運命的なものだったか、
そしてそんなビリーの姿に先生がどれだけ救われていたのかがわかります。

「ここを離れたら、あたしがどんなに二流のレッスンをしていたかがわかる」と突き放すように言うウィルキンソン先生に、
「それは違う」と言い放つビリーの姿は、どこまでもまっすぐで愛おしいなあと思います。

★The Letter Reprise 手紙(リプライズ)

死して尚、きっとこっそりビリーの前に現れては、応援し続けていたお母さん。
それはビリーが心に思い描いた幻であったかもしれないけど、
そんなお母さんとビリーの決別のシーンです。

「もう会えないと思う」と言うお母さんに、
「僕もそう思ったから、手紙を書いてきた」と言うビリー。

母子の関係にもだけど、幼いビリーの決意にも涙してしまう。

自分の道を貫くことが故郷の何もかもと決別する道であることを幼いながらに理解していて、
ダンスと共に精神面まで成長したんだな、ということが見てとれます。

このナンバーはもう、サビ(?)にいく前からほんと心に沁みる。
小さなお子さんのいる方とかは、尚更なんじゃないかなあと思います。

そしてこの作品のラストが家族とビリーの別れではなくて、
親友のマイケルとビリーの別れのシーンであるのが、また素晴らしいと思う。

これまで肩を並べて、同じ境遇で成長してきたはずの少年たち。
その2人が決別するというところに、ここがビリーにとって人生の大きな分岐点であったことをあらためて感じます。

私はこのシーンを、マイケルの失恋のシーンでもあると思っているのですが、
マイケルの小さな恋心を思うと切なく、でも清々しくビリーのことを送ってあげる姿に胸を打たれます。
親友の背中を見守るマイケルの表情が大好きです。
何も言わず、マイケルの頬にただキスをするビリーの姿も。

とても美しい別れのシーンに、なんだか自分も勇気をもらった気持ちになりました。

★Finale フィナーレ

こういうミュージカルはフィナーレまでダンスが盛りだくさんで、とにかく楽しく終わるのが良い(´v`*)

大人勢の皆さん、まさかこの歳でこんなふうにチュチュを着ることになるとは思わなかっただろうな…とちょっと思う(笑)

前回の記事でも書いたけど、島田歌穂さん、スタイル良すぎ!!

最後までダンスの素晴らしさを味わわせてくれる作品で、
観終った後はほんとに満足感でいっぱいでした。

日本公演はまだ始まったばかりだし、
ここからまたキャストの方々もどんどん成長していくんだろうなーと思うと期待が高まります。
私は今のとこ今期はもう観る予定はないのですが。。

ビリーの特番、ちょいちょいテレビでやっているようですが、
8/6(日)にもTBSにて放送があるようなので、ご興味ある方はぜひ!

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↑追記。。
めっちゃ今更ですが、この日付間違ってたみたいで8/5(土)でした。
録画予約してたのを後で観て気がつきました。。。
ざっくりすぎる情報な上に嘘をついてごめんなさい(>_<)
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この間WOWWOWで放送していたオーディションの特集も面白かったので、
今後もいろいろ特集してくれることを勝手に期待します(´v`*)

Liebe Grüße,
Natsuru

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