『ミュージカル ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』 観劇感想 -その1-

去る7月30日、ミュージカル『ビリー・エリオット』のソワレ公演を観てきました!

私は映画『リトル・ダンサー』は観ていないのですが、
ミュージカル10周年記念公演(@ロンドン)が映画化したものを観て以来、
大好きな作品のひとつになっていました。

それを日本人キャストが演じるということで、
「日本人にあれができるのか??」と疑問に思いつつも、興味はあったので劇場へ。

劇場にはかわいらしいフォトスポットもあり、まさに「インスタ映え」の時代を反映しているようでした(笑)

そしてキャストはこちら!

この日にしたのは一番に島田歌穂さんのウィルキンソン先生が観たかったのと、
Kバレエカンパニーの栗山さんのオールダービリーが観たかったので。

席は中央より下手よりだけど、わりと前の方だったので観やすかったです。
演出上、キャストが客席に来ることがあるのですが、
それを近くで観たい方には下手側がおすすめ。

このミュージカルは1984年のイギリスの炭鉱町が舞台なのですが、
サッチャー政権下で失業の危機にさらされ、ストライキを起こして政府と闘う炭鉱夫たちと、
その炭鉱夫の息子である11歳の少年、ビリーが主人公。

ひょんなことから女の子のバレエ教室に参加することになったビリーが、
ダンスの面白さにのめり込み、その才能をめきめきと開花させていく物語です。

「バレエは男がやるものではない」と周囲に嘲笑され、
炭鉱夫の父と兄からも強い反対を受けながらも、
踊ることへの情熱を燃やし続けるビリーの姿に胸が熱くなる作品。

そして日本版舞台がどうだったのかと言うと、
日本人だとやっぱり違和感がぬぐえないなあというシーンもありつつも
(私が最初に観たのがロンドン版だったせいもあるかもしれないけど)、
かなり良い仕上がりだったと思います(なんだか偉そう。。)。

主人公のビリー次第でかなり評価が左右される作品だと思うのですが、
ビリー役の加藤航世くん、きちんとお客さんに見せられるものを作り上げてるなあ、と感心。
日本にもビリー役ができる子がいるんだなあ、と。
正確には、日本公演が決まってからビリー役になれる可能性のある子を探しだし、
厳しいトレーニングをしてここまで持ってきているのですが。

むかしは『ライオンキング』のヤングシンバとか観ただけでも子どもなのにすごいなあと思ったものですが、
ビリー役の大変さは、正直ヤングシンバの比ではないと思う。

公演中、ほとんどずっと出ずっぱりで、休憩できる時間は10分くらいしかないのだとか。
そこに歌、演技、倒れてしまうくらい激しいダンス。
ある意味体力があって身軽な子どもにしかできない役だとも思うけど、
大人が演じる全ミュージカルの役を合わせても、こんなに大変な役ってなかなかないと思います。

ビリーと言えばダンスが最重要だけど、
歌もお芝居も良かったです。
滑舌も良くて聞きやすいし、ビリーらしくまっすぐできれいな声でした。

ダンスについては、加藤くんはもともとバレエが得意らしいのですが、
自分の得意分野はしっかりと押さえ、タップや他の要素も着実にこなしていました。

あまりにも高度なダンスが続くので仕方ないと言えば仕方ないんだけど、
技術があるだけに、途中若干の(と言ってもほんと数える程度だけど)ミスがあったのが残念だったなあ。
舞台は生ものなので、完璧でない部分も醍醐味ではあるけども、
完璧にできないと何より本人がものすごく悔しいだろうと思うので、
今後公演回数を重ねて、より精度を上げていってほしいなと。

でもほんと、この歳でこんな役ができるなんて、
一体どんな大人になるのだろうと末恐ろしいです。

早くもいろいろと書きましたが、、
ここからは各場面ごとにちょっとした感想を書きたいと思います。
ネタバレ含みますのでご注意ください。

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<ACT1>

★The Stars Look Down 星たちが見ている

炭鉱夫の男たちの歌。
ミュージカルのオープニングにしては、けっこう地味な方だと思います。

でもこの物語の主人公はビリーであると同時に、
政府からどんな仕打ちを受けようと自分たちの仕事・生き方に誇りを持ち続ける男たちでもあると思うので、
この重厚感のあるオープニングはなかなかハマっているなと。

オープニングだけでなく、全体的にどうしても英語版の方が好きなんだけどね。

英語版の英語、イギリス北部の(?)なまりがけっこうあるのですが、
それを受けて日本語版では九州弁(?)が使われていました。
個人的には日本語の場合はいっそ標準語でも違和感はないなと思ったけど、
都会とは違う閉鎖的な環境を表すためでもあるのでしょう。

★Shine 輝け、今!

ビリーがウィルキンソン先生の指導する女の子のバレエ教室にまぎれこんでしまうナンバー。

ウィルキンソン先生、本物!!
と思った。
さすが島田歌穂さん!!!

ちょっとくたびれてすれた雰囲気もロンドン版そのもので、
何よりスタイルがとっても良い!
(フィナーレでチュチュ着て登場した時もその細さに驚いた)
格好良くて素敵でした(´v`*)♡

個人的には、バレエガールズみたいなアンサンブルは日本人がやるとアンサンブルとして溶け込まない部分があると言うか、
ちょっと変に個人個人が主張しすぎ、みたいに見えてしまうのはなんでなんだろう…と思う。
私自身が日本人だからかな。

上手い言葉が見つからないのですが、こういうアンサンブルってもちろん個性的な面白さも必要だし、そういう演出になってるんだけど、
あくまでも「個」であるより「全体の一部」であるべきだと思うんだよね。
そういう意味も含め、やっぱり海外版の方が良いな、と思った。

でも、みんなプライベートではバレエが上手な子ばかりなんだろうに、
ちゃんと下手そうに踊ってみせるところはさすがだなと思いました。

★Grandma’s Song おばあちゃんの歌

早くビリーのダンスが観たいなあ、と思いながらも(笑)、
けっこう好きなシーンだったりする。

ビリーのおばあちゃんが、おじいちゃんのことを語る時の歌です。

男性陣のダンス、これもやっぱり海外版のセクシーさにはかなわないとは思うんだけど、
タバコの煙と椅子を巧みに使ったこの振り付けが格好良いなあと思う。
メロディーも好き。

けっこうボケたキャラクターとして扱われるビリーのおばあちゃんですが、
この時は「1人の女性」として力強く生きている感じがわかるのが好きです。

★Solidarity 団結を永遠に

一幕の中でもかなり好きな曲!

ストライキする炭鉱夫たちと、政府側であるスト破りの男たちの闘いと、
バレエ教室の様子、そこでビリーが少しずつ才能を開花させていくのがすべて見られる歌。

ミュージカル公演の映画感想でも書いたけど、
こうやってまったく別の場所に存在する人たちのシーン、心情を一曲の歌にのせて語ることができるのがミュージカルの魅力です。

どうしても英語の歌詞の方がいいなあとは思ってしまうんだけど、
このあたりからいよいよ物語が本格始動する感じでわくわくします。
うたってる側も楽しいナンバーだろうなあ。

★Expressing Yourself 自分を表現しよう

ビリーが父親にバレエ教室に通うことを禁止されて悩み、
親友のマイケルに相談するシーン。

マイケル、出番は決して多くはないのですが、タップの見せ場もあってかなり重要な役。
日本公演版はメガネないのかな?と思ったのですが、最初の頃とかしてたっけ?(笑)

英語版の「Cuuuuuuute!!!」が聞けないのは残念だけど、
日本版マイケルもちゃんとマイケルらしく、良い味を出してました。
若干、ほんとの女の子みたいでかわいすぎる感じもあったけど(笑)

なんか年々歳を取ってるからなのか、、
こういう子どもたちのシーンを見ると、「自分もやりたい!」を通り越して、
子どもの無限の可能性を感じて感動してしまう(笑)

子どもって本当に柔軟で、好きなものに打ちこむチャンスを与えてあげると、
この若さでもこんなにすごいことができるんだなあ、と。
完全に親目線に。。(笑)

笑えるシーンでもあるけど、「男の子だってバレエをしてもいいじゃない!」というマイケルなりのエールが送られるシーンでもあり、
ビリーに大きな影響を与えることになる場面だと思うと感慨深いものがありました。

★The Letter 手紙

ビリーの才能を見出したウィルキンソン先生は、ビリーに個人レッスンをすることになります。
振りを作るため、「何か自分を表現するものを持ってきて」と言われたビリーが持ってきたのは、
亡くなったお母さんからもらった手紙。

その手紙をウィルキンソン先生が読むシーンですが、どうしても涙なくしては観られないシーン。
ビリーが手紙の内容を完璧に覚えているところに、きっと何度も何度も読んだんだろう、と思わされるし、
「もっとビリーの傍にいたかった」というお母さんの想いが切ないほど伝わってきます。

この手紙を淡々と読まなければいけないウィルキンソン先生は大変だろうな。。
ちょっと気を抜いたら毎回泣いてしまいそう。

ウィルキンソン先生とビリーの間に、母と息子のような絆が生まれ始める瞬間だとも思います。

★We were Born to Boogie 踊るために生まれてきた

ウィルキンソン先生のもとでダンスに勤しむビリーの様子がわかるナンバー。

ちょっと縄跳びのダンスが大変そうだった。。
踊った後にぶっ倒れてしまう演出ですが、このダンスも相当ハードだろうなあ。
ほんとに踊りっぱなしのビリーには頭が下がります。

★Angry Dance 怒りのダンス

ロイヤルバレエスクールのオーディションの日、
ウィルキンソン先生がビリーを迎えに来るも、父と兄は猛反対。

母親を亡くし、ストライキでぴりぴりした家庭。態度にはあまり出さないけれど、それに怯えるビリー。
ビリーは密かに、毎日多くのものと戦っているんだな、と実感させられるシーンです。

兄のトニー役の中河内雅貴さん、目力が強いのでこういうぎらぎらした役ぴったり!
ビリーを緊張させるオーラがよく出ていて、存在感がありました。

別の舞台でもむかし拝見したことがあって、とってもダンスが上手い方だということを知っているだけに、
この作品ではあまりダンスが見られなくて残念。。
でもフィナーレではばっちり踊っていてさすがでした!

そしてこの「Angry Dance」も、ビリー役はかなり大変というか、
ある意味一番大変なナンバーなのではないかと思います。

歌もない中、魂から湧き上るような「踊ってやる!」という気持ちをただただダンスにぶつけ続ける曲。
しかも、踊っているのはビリー1人なので実力が明白になってしまい、ごまかし様がない。

私は海外版を観て流れを知っているので、「頑張ってるな、ちゃんと踊れてるな(またも親目線…)」という印象だったけど、
初めてこのシーンを観る方はけっこう度肝を抜かれるのではないかと。

小学校高学年とか中学生とかでこの表現ができるのは、
決して当たり前ではなくて本当にすごいことで、
それこそ選ばれて努力を怠らなかった人にしかできないことだと思います。

とにかく「全力を出し切る」しかない一幕ラスト、
歌がなくダンスのみ、というのも実にこの作品らしいです。

というわけで、案の定長くなってしまったので、
二幕の感想はまた次の記事で(笑)

Liebe Grüße,
Natsuru

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