『宵山万華鏡』

夏に読みたい森見登美彦さんの本、『宵山万華鏡』。

『夜は短し歩けよ乙女』、『有頂天家族』の二作に次いで、大好きな本です。

森見さんの書く作品は思いっきり阿呆な(笑)ものから、
一切笑いのない真面目、というかうっすら背筋が寒くなるような怖い雰囲気のある作品まで様々なのですが、
この作品には両方の魅力が詰まっていると思います。

どちらかと言えば、真面目路線なのですが。

タイトルのとおり、祇園祭の前祭、宵山で起こるいろんな出来事に焦点を当てた物語。

オムニバス形式なので各章で主人公も変わり、
宵山の夜に起こる出来事を、本当にくるくると万華鏡をのぞいているような感覚で読んでいくことができます。

読みながら頭の中に映し出される世界は、どれも本当に幻想的。

私はこれまでの人生で京都にゆっくり滞在したことが一度もないのですが、
森見さんの描く京都の町は本当に魅力的で、今すぐ森見さんの本を片手に、京都へ出かけたくなります。

特にこの作品では、夏の夕暮れのじっとり汗ばむような空気とか、祭りの夜の異様な熱気や喧噪、
どこか知らない場所に迷いこんでしまったような、不意に心細くなる感じとか、
華やかなだけではない世界も描かれていて、
それが逆に臨場感を出していて、ぐいぐい引き込まれてしまいます。

夜眠れなくなるくらい怖い本とかはだめなのですが、
いい具合にひやっとする奇妙な感じが大好きなので、
この作品の中でちょいちょい出てくる薄気味悪いような雰囲気は、個人的にものすごくツボ。

お面とかから感じられるような、和風独特の奇妙さとかが好きなのです。

一章、一章、話は違うけど、同じ宵山の一夜で起こっている出来事なのでつながりもあるし、
基本的には6話ある中の2話ずつが対になっていて、この構成がまたたまりません。

ただただ面白く読んだ『宵山金魚』の章が、別の章を読むとまた違った印象になったり、
他の森見作品とのつながりもあって、最後まで飽きることなく読めます。

この作品を久々に読み返したのは今年の春だったけど、
こうして振り返るとやっぱり夏に読むのがいいなあ、と思うので、またすぐ読み返してしまうかもしれません(笑)

この次に紹介予定の『聖なる怠け者の冒険』ともつながりのある本なので、
そういう意味でもおすすめの1冊です!

Liebe Grüße,
Natsuru

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