尊敬する芸術家の一人として、絶対に名前を挙げたいのがバレエダンサーの熊川哲也さん。
もともと好きだったクラシックバレエ熱(観る専門)に火がついた高校時代以来、熊川さん率いるKバレエカンパニーの公演をことあるごとに観てきました。
そのカンパニーの最新作が、オペラでも有名なあの『カルメン』。
10/12(日)の夜公演を観に行ってきました。
ドン・ホセはもちろん熊川さん。カルメンは白石あゆ美さんでした。
熊川哲也さんの何がすごいって、誰にも真似できないしなやかで力強い踊りは言うまでもなく、
演出に見られるその「芸術的なセンス」です。
振付、衣装、舞台装置。すべてに一切の妥協がなく、今まで誰もしなかったような演出で物語を紡いでいて、
且つ、「最高のものを創っている」という自信が舞台に現れていて、本当に「うつくしい」の一言に尽きる。
どんなシーンも見逃したくなくて、瞬きを忘れて舞台に見入ってしまいました。
この物語は、自由な恋愛を求めるジプシーのカルメンと、彼女に心を奪われた生真面目な兵士ドン・ホセの、
情熱的で、それでいて儚い恋物語。
痛々しいほど相手に焦がれる想いとか、それゆえの強い憎悪とか。
バレエなのでもちろん台詞はないんだけど、全身の動きから強い感情が伝わってきて、主役の2人が特に素晴らしかったです。
男性陣がみんな虜になってしまうカルメンに、最初見向きもしないホセがかっこいい!
あのくらいの冷静さを保ったままカルメンを愛せていたなら上手くバランスも取れただろうになーと思う反面、
生真面目ゆえにその愛を過剰なまでに増幅させてしまうところが哀しくもあり、なんだかたまらなく愛おしくもあり。
一番印象的だったシーンは、カルメンに会いに酒場にやって来たホセが、「間奏曲」にのせてたったひとりで踊るシーン。
フルートにのせた踊りが切なくて儚げで、とても美しいシーンでした。
間奏曲はこちら↓ たぶん、あ、聞いたことある!ってなると思います。
『カルメン』は有名な曲も多いのでそういう点でも楽しめるよね。
ただ、スペイン的で力強くて、とっても良い曲なのに途中でどうしても懐かしのカ○ダスの歌が耳に…。。(何のことかわからない方は無視してください)
常日頃から思うんだけど、私、クラシックの名曲を変な替え歌にしちゃいかんと思う。
もとはすっごく心に響く良い曲なのに、替え歌のイメージのせいでギャグみたいになっちゃったりするし。
カルメンの曲も、私はもっと純粋な心で聴きたかったのです…。
まあそれはさておき。
スペインってやっぱり「光と影」というイメージが強くあって、それが照明でも忠実に表現されていたのがとても印象的でした。
ぱきっとした明るさともの寂しさのコントラスト。
特にラストシーンの臨場感はすごかったなあ。
なんだか他の演目もまた観たくなってしまったので、DVDで見直したら、また感想を載せたいと思います^^
Liebe Grüße,
Natsuru
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