買ったは良いけれど、なんらかの事情でずっと読まずにそのままになっている、
いわゆる「積み本」。
私の部屋にも何冊かそういった本があるのですが、
数年前、自分の中に読書ブーム(毎日本を読む生活から離れてしまってから、定期的に私の中で起こるブーム)が到来したとき
ひとまずそれまでの積み本を片っ端から読んでいったことがあります。
『トム・ソーヤの冒険』、『聖なる予言』などなどの本と一緒にそのとき読んだのが、
池澤夏樹さんの『南の島のティオ』。
これは中学1年のとき、夏休み前か何かに配られた学級新聞(?)的なものの中で
とある先生がおすすめしていた1冊で、
興味を持って買ってみたものの、なんとなく読まずに10年ほどの月日が経ってしまっていたもの。。
けれどやっと読む機会がやってきて、
一度本を開くと、本の中に揺蕩う不思議な雰囲気に引き込まれてしまいました。
舞台はとある南の島(解説によると、モデルはミクロネシアのポンペイ島だとか)で、
主人公はティオという、父親が経営するホテルを手伝う12歳の少年。
この本は、ティオの視点でいくつかの話が語られる短編集になっています。
むかし起こった戦争の名残りが島に残されていたりとか、リアルな面もある一方で、
島のあちこちには神々や精霊の息遣いが感じられます。
その「人を超える何か大きな力」の存在を当たり前のように感じとり、
共存する人々の姿が描かれているからこそ、
この本はなんだか神秘的にも感じられるのかもしれません。
初めてこの本を読んだ後、しばらくは池澤さんの本にハマり、
けっこういろいろと読みました。
異国の地を旅しているような気分を味わいながら、
リアリティとどこか不思議な空気を感じながら読むことができるのが、
池澤さんの本の魅力かなあ、と個人的には思います。
『南の島のティオ』に関して言うなら、
最初のエピソード、「絵はがき屋さん」を読むだけで、
この本の雰囲気は感じ取れるかと思います。
久しぶりに読み返してみて、「ほっとする」とか「安心する」とかとはまた違う気がするけれど、
不思議な癒しを与えてくれる本だなあと思いました。
またそのうち、他の本も読み返してみようと思います^^
Liebe Grüße,
Natsutu
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