最低限、生活に必要なものはそろえることができるけど、アイヒシュテットは本当に小さな田舎町。
ほとんどのドイツ人が、「アイヒシュテット? それどこ?」と言うので、
「インゴルシュタット(アイヒシュテットの近くにある、アイヒシュテットよりは有名な町)の近くにある町」と説明しないと通じない。
当時の人口は約1万人。
一口に1万人、と言われてもあまりぴんとは来ないけど、東京とはまったく違う環境だということはたしか。
それだけに治安もとても良いと聞いていたので、レオナ、潤、私の3人は、
着いたその日に夜の町へくり出してみることにした。
と、言っても、主な目的は晩ごはん。
あまり遠くまで行ってみるのもなんなので、寮から近いボガーツというお店に入り、
(当日の良い写真がなかったので、実際の日付と整合性が取れていませんがご了承ください。)
私はトマトパスタを注文。レオナか潤のどちらかがチリコンカーンを頼んでいたことだけはなぜだかよく覚えているけど、
もうひとつ頼んだはずのメニューは記憶にない。
パスタは味が少々濃く、サイズも少しばかり大きかったけれどおいしかった。
店員の女の子もかわいくて親切。
日本人には馴染みの薄い「チップ」の文化にはまだ慣れないものの、
アイヒシュテット第1日目の晩餐は楽しいものになった。
夜はさすがに人通りも少なくて、明かりもなく暗い。
とても静かだったけれど、怖さのようなものはまったくなく、むしろ心地よさを感じた。
私たちはのんびりと寮まで帰ってきて…ふと、あることに気がついた。
出かける時は開いていたはずの寮の扉が閉まっている。
しかも、どうやら鍵がかかっている。
急いで各々部屋の鍵を取り出して挿して回したけれど、なんだか開かない…?
他の扉も試してみたけれどだめだった。
通常ならけっこう焦る場面のはずにも関わらず、私たちはマイペース。
いざとなったらこのまま外で一夜を明かすしかないかもね、と話しつつ、ものは試しということで、
駐車場の方へまわり、明かりのついている部屋の窓をノックしてみて、住人に助けを求めることになった。
だけど当然、住んでいるのは外国人。
カーテンの閉まった窓をノックして、中から顔をのぞかせたのが下着姿の金髪女子だった時、
思わずあわわとあわててしまった。
が、夜にいきなり窓をノックされ、その正体は謎のアジア人3人組、というわりと怖いであろうこの状況下にも関わらず、
彼女はにこっと笑って一言。
「何か手伝う?」
天使…!!
うろたえながら、ドイツ語と英語を混ぜ合わせて状況を説明する私たちに、彼女は「寮の入口で待ってて」と言い、
(もちろん服を着て)入口までまわってきてくれ、鍵の開け方を教えてくれた。
どうやら扉の開け方に、少しコツがあったらしい。
こうして私たちは彼女のおかげで、「寮生活第1日目からの閉め出し」というマヌケな展開をなんとか免れることができた。
長い一日だった昨日にも引けを取らないくらい、いろんなことが起こった一日だった。
日本の自分の部屋と比べるとほぼ何もないがらんとした部屋で、
この日は倒れるように眠りについた。
ご参考まで。私たちの寮、マリア・ヴァートの写真↓