時差ボケのせいで深夜何度か目が覚めたものの、朝はすっきりと目が覚めた。
ドイツ2日目の朝をホテルで迎えた私たちは、さわやかな気持ちで朝食のビュッフェへ。
パンやチーズ、ハムやその他が目白押し。
どれもこれもおいしくて、とりわけクロワッサンは絶品だった。
朝食後、ホテルに荷物を預けたまま、一旦ミュンヘンの街へくり出した私たち。
まだ交通事情はさっぱりなので、また人に道をたずねつつ、けっこうな距離を歩いて市庁舎へ向かった。
大きくそびえ立つ市庁舎に着いた時、驚くほどタイミングよく、
音楽と共に動くからくり時計を見ることができた。
もうじきイースターを迎えるため、街はうさぎや卵のイースターグッズがいっぱいで華やか。
ゆったりとウィンドウショッピングを楽しんでいた私たちは…
「電車乗り遅れるかも!」
という潤の言葉で我に返り、時計を見て猛ダッシュ!
あれ、つい最近似たようなことあった気が…、と思いながらもホテルで重いスーツケースを引き取って、
ミュンヘン中央駅までがらがらごろごろ。
駅員の人に切符の買い方を教えてもらって、あわてて列車に乗り込んだ。
この列車がまた大変。大荷物を引きずり上げて乗り込んだはいいものの、
2階建てで階段があるので、また渾身の力で荷物を引きずり上げなくてはならないことに…。
が、そこは火事場の馬鹿力。
今まで知らなかった自分の力を発見した、2006年春だった。
一度乗ってしまえば、あとは気ままに列車に揺られるだけということで、
再び、のんびり世間話を始める私たち。
ミュンヘンを出発して1時間と少しの後、列車はアイヒシュテット駅という小さな駅に到着した。
私たちの目的地アイヒシュテット・シュタット駅へは、ここから更に単線に乗り換えないとたどり着けない。
小ぶりな赤い列車に乗り換え、そして10分。
ついに目的地へ到着した私たちを駅で待っていてくれたのは、アイヒシュテット・カトリック大学の学生、
パトリツィアとクリスティーナ。
この2人は留学生を支援する学生グループの一員。
アイヒシュテットの大学では基本的に、1人の留学生に対し1人のドイツ人学生がチューターとしてついてくれる制度があり、この面倒見の良さも、私がここに留学したいと思った決め手のひとつだった。
パトリツィアはグループ長のような存在で、クリスティーナは潤のチューター。
レオナと私のチューターは、まだ春休みで実家に帰省中らしい。
背がとっても高いパトリツィアとクリスティーナは、私たちを車に乗せ、
これから私たちが入る寮、マリア・ヴァートへと連れて行ってくれた。
ここはなんと修道院と礼拝堂が併設されている女子寮で、旧市街をはずれて少し歩いたところにある。
噂には聞いていたけれど、白を基調とした清潔感ある綺麗な寮で、部屋の広さは1人には十分すぎるくらい。
部屋のタイプによってはキッチンがないところもあるようだけれど、私たちの部屋にはそれぞれ、
シャワー、トイレ、キッチン、冷蔵庫などが完備されていた。
普通のアパートのような立派な部屋に感動しつつも、ひとまず荷物だけ置いて、
私たちは車でスーパーへ買い出しに。
寮には私たちの前のシーズンに留学していた日本人が寮の地下倉庫に置いて行ってくれたお鍋やもろもろの調理器具があるのだけれど、
いかんせん今日は休日の土曜日。
倉庫は月曜日に管理人さんが来ないと開けてもらえないということで、
とりあえず調理せずに食べられるパン類を購入した他、石鹸、洗剤、生活必需品を一通りそろえた。
「アイヒシュテットはものすごい田舎で、町と言うよりは村」という過去の留学生の感想を鵜呑みにしていた私は、
「色々あって普通に生活できるじゃん!」と一安心。
こうしてついに、私たちの寮生活が始まった。