ちぃちゃんがアイヒにやって来た!

2006年5月26日、金曜日。

その日、私はいつになく緊張していて、1日の体力温存のために朝のエアロビに行くのをやめた。

部屋の掃除をして、寮の地下にごみを捨てに行き、
駅に行ってニュルンベルクまでの列車の往復チケットを買ってから、大学の授業へ。

その後いったん寮へ帰り、万全の準備をして寮を出発。
パン屋で買ったクロワッサンを片手に、単身列車に乗り込んだ。

なぜ私がそんなに緊張していたかと言うと、その理由は2つある。

ひとつは、ドイツに来てから、たった1人で列車に乗って出かけるのが初めてだったという、
「子どもかい」と突っ込みたくなるような理由。

もうひとつは、大好きなちぃちゃんと約4ヶ月ぶりにドイツで再会できるという、わくわくした気持ちから。

ちぃちゃんは大学のサークルの同期で、出会ってすぐに意気投合し、周囲も驚くほど仲良くなった大事な友達。

くだらない話から真面目な話までなんでも話せて、合宿ではバカじゃないかと思うほど毎晩一緒に夜更かしをして(笑)、
自分たちを「2トップ、東の最強」と称して、大人しい人が集まっていたサークルの静寂をかき乱し、
苦楽を共に、何よりも数えきれない笑いを共にした人物だった。

そんなちぃちゃんは、学科は違えど同じくドイツ語を学んでいて、
私と同時期にケルンの大学へ留学していた。

大学に入学してからほぼいつも一緒にいた私たちにとって、この留学は初めての遠距離(と書くと何やら語弊があるけれど)。
だけど必ずドイツで再会しようね!と言って、日本で泣きながらお別れをしたのが、すでに遠いむかしのように感じられていた。

そんな中、遠く離れたケルンから「会いに行く」と先に行動を起こしてくれたのはちぃちゃんだった。

同じドイツと言いながら、ケルンからアイヒシュテットまでは列車を乗り継いでざっと7時間ほどかかる。
それでも来てくれるというちぃちゃんの行動力がありがたくて、私はせめてニュルンベルクまで迎えに行こうと決意した。

そんなわけで、この日はひとり列車に揺られ、ニュルンベルクを目指していた。

ニュルンベルクまでは2時間弱はかかるし、ドイツの列車は思わぬ事態で止まったりなんだりするのでいろいろ心配していたけれど、
クロワッサンをかじりながら、読みかけだったアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を読んでいたら、意外とすんなり終点までたどり着いた。

至って順調!と嬉しく思い、ホームに降り立ったのも束の間…
ここでちょっとした事件勃発。

まず、ケルンからやって来るICE(日本で言うところの新幹線のような列車)のホームを調べて待ってみたけれど、いつまで経ってもそこに列車がやって来ない。

ちぃちゃんの携帯にメールをして、返事がないから電話もして。
けれど何度電話をかけてみても、ちぃちゃんは一向に出てくれない。

そんなバカな、と思いつつうろうろしながら駅員さんに確認して、
ようやくケルンからやって来たらしい列車を発見!
…が、待てども待てどもちぃちゃんの姿は見えなかった。

このまま会えなかったらどうしよう…とりあえずいったんアイヒに戻るしかないんだろうか…
と、思いながら駅中をうろうろしてみようとしてホームの階段を下りてみたら…

その瞬間、やや遠くから転がるようにして走って来る小さな女の子の姿が目に飛び込んできた。

………ちぃちゃんだ!!!

まさに条件反射的に、私も笑いながら駆け出した。

周囲の人が何事かと振り返る中、ミニサイズの日本人2人はひっしと抱き合い、
ハリウッドスターも顔負けのドラマチックな再会を果たした。
もう本当に、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

きけば、やっぱりちぃちゃんは携帯を忘れてきてしまったとのこと(笑)

携帯に頼って待ち合わせ場所も何も決めていなかったのに、
そこそこ広い駅の中でこうして会えたのは本当に奇跡!
ちぃちゃんは、最終手段として駅内放送で私を呼び出そうかと思っていたようだけど(笑)

そうしてアイヒ行きの列車が出るまで30分、ニュルンベルク観光をしようとしたものの特に何もなく、
16:40の列車に乗り込んだ私たちは、18時すぎには無事アイヒシュテットに到着した。

「田舎って言われてたけど意外に普通の町だよ」とちぃちゃんにアイヒのことを説明したのに、
大都会ケルンからやって来たちぃちゃんは、単線の列車を見て唖然。
どうやら、想像以上にこの町は田舎だったらしい(笑)

この日はあいにくの雨だったけれど、簡単に町や大学を紹介。
寮に着いてからはパスタをゆで、ちぃちゃんが持ってきてくれた日本のお笑いのDVDを見ながら夕食。

この日のために!とダンボールとペーパーナフキンで自作したテーブルが役立った(笑)

翌日が朝早いということもあり、レオナや潤と軽く集まって話した後は早々に就寝。

ベッドに2人並んで寝て(狭いかと思いきや、ホビットサイズの2人は意外としっくりおさまった)、
夜中に夢を見ながら笑っているちぃちゃんを見守ったり(?)して(翌日、「私めっちゃ笑ってなかった!?」と言われたとき、思わず「あ、気づいてたんだ」と返してしまった笑)、
ちぃちゃんがアイヒにいるなんて夢みたいだなあと思いながら、私自身も眠りについた。

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