アイヒシュテット散策の翌日。
この日は朝から、ものすごく気が重かった。
はるばるアイヒシュテットまでやって来てくれたちぃちゃんが、ケルンに帰らなければいけない日。
2人してとろとろした動きで朝食のコーンフレークを食べ、
駅までものすごくゆっくり歩いた。
昨日の夜に観た『耳をすませば』を思い出して、「カントリーロード」を口ずさんだりもして。
授業もあったし、本当はアイヒシュテットの近くの駅まで送っていって帰ろうと思っていたけれど、
聴講で出ているだけの授業ということもあり、
授業を休んでニュルンベルクまでちぃちゃんを送っていくことにした。
それだけ別れが悲しくて、別れまでの時間を少しでも先延ばしにしたかった。
留学前に日本で別れたときは、「必ずドイツで会おうね!」と約束したものの、
同じ国内とは言えやっぱりかなり距離があるから、
本当に会えるのかな、と半信半疑だった面も正直ある。
だけど、ちぃちゃんは本当に来てくれて、
一緒に過ごした3日間は本当にものすごく楽しかった。
そんな名残惜しい思いもむなしく、列車はすんなりとニュルンベルクへ到着。
列車が来るまで焼き立てのソーセージをはさんだバゲットを食べながら、2人ホームにたたずんでいた。
そしてとうとう、アイヒシュテットに戻る列車がやって来た。
そう。
ちぃちゃんを見送りに行ったはずなのに、
私がアイヒシュテットに戻る列車の方がケルン行きの列車より早く出発するため、
なぜか私がちぃちゃんに見送られる形で、列車に乗り込む展開になったのだった(笑)
ドイツの列車は何の前触れもなく急に発車したりするので、
いつ出発するか警戒しつつ、
車掌さんに見守られる中、ホームで泣きながらぎゅっと抱き合い。
そうしてついに、私の乗り込んだ列車はアイヒシュテットに向けて出発した。
走って列車を追いかけてくれるちぃちゃんの姿が窓外に見えて、
思わず笑ってしまったりして(笑)
本当に、最後まで楽しかった。
ずっと楽しみにしてしまった時間があっという間に過ぎ去ってしまって、
そのあと私は、しばらくぼーっと座っていた。
けれど、切符を点検に来た車掌さんの顔は優しくて、
アイヒシュテットに近づくにつれて、だんだんと元気がわいてきた。
次は私が、ちぃちゃんに会いにケルンに行く番。
それを思うと、今から楽しみでわくわくしてきた。
このときはまだ、先の予定は何もわからなかったけれど。
夏が終わって季節が秋めいてくる頃に、
私は本当に、ちぃちゃんとケルンで再会することになる。