ノイシュヴァンシュタイン城
幼なじみのみりいがドイツにやって来て数日。
一緒にアイヒシュテットを観光したり、
寮に遊びに来てくれたチューターのブリギッテにみりいを紹介したり、
ミュンヘンを観光したりもして。
満を持して、ノイシュヴァンシュタイン城へ行く日がやって来た。
ノイシュヴァンシュタイン城と言えば、ディズニーのシンデレラ城のモデルとなったお城としてあまりにも有名。
これぞ、「お城」と聞いていろんな人が想像するであろうお城そのものという外観で、
直訳すると「新白鳥城」となる、白くて大きくて美しいお城。
19世紀にバイエルン国王ルートヴィヒ2世によって建てられ、
お城の中にはルートヴィヒ2世が心酔したリヒャルト・ワーグナーのオペラの世界が表現されている部屋もある。
南ドイツに行ったなら訪れて損はない観光名所で、
私も1年ほど前に日本からのツアーで訪れた場所だった。
個人ではなかなか行きづらい場所に位置しているため、
今回はミュンヘン発のオプショナルツアーに参加。
外国人のガイドさんがつく、各国の観光客向けのツアーで、
バスの中では日本語のオーディオガイドを聞くこともできた。
(むかしからバスに乗ると異様に眠くなるので、正直大半は寝ていたのだけど。。)
ツアーでまず訪れたのはリンダーホーフ城。
ルートヴィヒ2世が建設した3つのお城の中で、ただひとつ完成したお城だとか。
なんだか別荘のような雰囲気で、
こぢんまりしているけれどとてもきれいなところだった。
続いて、オーバーアマガウというかわいらしい町に一瞬立ち寄ったツアーバス。
窓の外に咲き乱れる花が本当に美しい。
これぞ南ドイツのイメージ。
そうしてついに、ノイシュヴァンシュタイン城のふもとへ到着。
ここでいったん解散し、お城の前で再集合ということで、
私とみりいはシャトルバスで山を登った。
緑に覆われた山の上に建つ、
ノイシュヴァンシュタイン城。
前に来た時は3月の初め頃で、
まだ雪も残り、空も白い寒空だったので、
夏の青々と茂る緑には本当に感動した。
見渡すかぎりの自然の風景。
そして、近くまで来ると大きすぎてとても1枚におさまらないノイシュヴァンシュタイン城。
やっぱり夏は人気シーズンのようで、
前に来た時よりもずっと、観光客も多かった。
ここから先は写真撮影禁止ということで、観光に集中。
このお城は、豪華な外観とは裏腹に、内側にはとても寂しい空気が漂っている場所。
ルートヴィヒ2世はこの城の完成を待たずして精神病と診断され廃位に追い込まれ、
湖で謎の溺死を遂げたと言われている孤独な王様。
玉座のない「王の間」を見たり、
一番のお気に入りの寝室で逮捕されたというエピソードを聞くと、
やりきれないような気持ちにもなった。
それでも彼が遺してくれたもののおかげで、
私たちはこうして日常とはかけ離れたものを見て感動できるわけで。
ルートヴィヒ2世自身は、
将来こんなにたくさんの観光客が押し寄せることになるなんて夢にも思わなかったはずだし、望んでもいなかったと思うけど、
本当にありがたいなあという気持ちにさせられた。
この時の日記に、「またいつか、もう一回くらいは来るかもなあ」と書いていた私。
9年後、本当に再訪することになる。
ミュンヘンへ
ノイシュヴァンシュタイン城を後にした私たちは、
露店でリンゴ入りの特大プレッツェルを買い、半分こしながら坂を下った。
そうしてまたバスに揺られ、
ミュンヘンに着いたのは夕方頃だった気がするけど、
ドイツの夏はまだまだ明るい。
この日もまたミュンヘンの町をうろうろして、
レストランでごはんを食べた。
日本への一時帰国
そして翌日。
もろもろ考えて、夏休みには一度日本に帰ろうと実は最初から決めていた私に、
とうとう一時帰国の日がやって来た。
ドイツで暮らした4ヶ月分の夢のような思い出を持って、
みりいと一緒に乗り込んだ飛行機の中では、
手持ちのパソコンでDVDを観たり眠ったりしていたら、
あっという間に時間が過ぎた。
久々の日本は、懐かしいと言うよりは、
着いた瞬間、今まで自分がドイツにいたことが本当に夢に思えるくらい違和感ゼロ。
ただ、なぜか実家の床や洗面台の高さに「こんなだったっけ?」と違和感を覚えた(笑)
そんなふうにして始まった日本での夏休み。
慣れ親しんだ町で、慣れ親しんだ人たちと、何不自由ない時間を過ごすことができた。
そしてひと月経った後、
秋の気配の漂う中で、
再び、アイヒシュテットでの生活が始まった。